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東京都病院協会 会長 河北博文
病院が病院として存在するためには組織としての組織文化の確立と業務としての医療の科学性を追及することが不可欠である。わが国の医療に科学性はどのくらい存在するか。医療が科学的であるということは検証できることを意味する。検証できるためにはデータという情報が必要であり、それが記録され、集積され、分析されて現場で活用される循環機能をシステム化することである。経験と勘に基づく医療も従来の知恵と知識が活かされてきたことの結果ではあるが、それをさらに科学的に検証して将来に継承できるものにしていくことが必要である。
わが国の従来の診療情報管理は終了した診療の整理と保管が主な作業であり、アナログ的処理のもとにデータベース化されてこなかった。デジタル的情報管理が高度に可能になった今日、診療情報管理は診療の経過中に得られた情報をいかにデータ・ベース、EBMのクリニカル・ガイドラインなどとの双方向のやり取りによって現在進行中の診療に役立たせるかということに転換していくことが求められている。そのためには、医療機関の規模、機能に関わらずにそこで行われている診療に関わる診療情報をどのように管理システムに繋げるかということがこの手引きによって示されている。適切な診療情報管理こそが診療の質の向上並びに、安全な医療の保証の全てであると言っても過言ではない。そのために東京都病院協会は平成10年以来の研究を通して診療情報の標準化とデータ・ベース化に関わってきた。東京都内並びに、東京都以外の地域であってもできるだけ多くの医療機関が診療情報の適切な管理を行い、それが医療の科学性の追及に結びつくことと期待している。
最後に、当然のこととしての繰り返しではあるかも知れないが、診療情報の管理は正しい診療情報の発信が不可欠である。これは医師、看護師を含む専門職の人たちが自らの業務の中でいかに正確に情報を捉え記載するかということである。このことが全ての基本になるということを再度確認しておきたい。
はじめに
診療録検討特別委員会委員長 飯田修平
診療情報管理の意義は、一部の組織を除いて、あまり重視されていなかった。医療サービス提供の量的な側面が重視され、質についての関心がどちらかといえば低かったためである。しかし、医療の質や安全に対する社会的関心の増大、医療ニーズの多様化にいかにして医療界が対応するかを考えるにあたって、今や、診療情報管理は価値を生まない業務ではなく、むしろ、価値創造の源泉であるという意識改革が進みつつある。情報の価値を重視する情報社会において、多くの組織で、診療情報管理の重要性が認識されるようになった。診療報酬上の評価という受動的な理由のみでなく、医療の質向上、医療経営の質向上に必須の業務であるという認識である。医療機関における、最も基本的かつ最重要な情報は、診療情報である。
診療情報管理の意義を一言で表現すれば、診療情報を蓄積(Stock)することではなく、活用(Use)に資することである。情報を活用するためには、標準化と情報の共有が必須であり、情報システムはこれを可能にするために開発される必要がある。情報システムの解説は本書の目的ではないが、情報システム導入により診療情報管理の考え方や運用が様変わりすること、これにも対応できるように組織内の診療情報管理体制を整備する必要があることを強調したい。
診療情報管理の重要性を理解しても、大規模病院や、一部の中小規模の病院を除いて、診療情報管理の意義を正しく理解し、診療情報管理の体制を構築し、運用することは容易ではない。したがって、東京都病院協会診療録検討特別委員会では、診療情報管理の重要性とその運用に関して、研修会、シンポジウム、都病協ニュース等により、会員病院に情報を提供し、また、診療情報管理体制構築の支援をしている。
本委員会活動の成果の一部を、「診療情報管理立ち上げの手引き」としてまとめた。会員病院及び委員が関与した病院の診療情報管理体制構築の具体的な事例を紹介している。本書を参考にして、自院の理念や目的に合った診療情報管理体制を構築し、信頼の創造と医療の質向上に役立てて頂きたい。
診療情報管理業務が制度として適切に位置づけられ、すなわち、公的な専門資格として規定され、教育体制も整備され、また診療報酬等でも適正に評価されることを期待する。
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目次
東京都病院協会 会長 河北博文
はじめに
診療録検討特別委員会 委員長 飯田修平
理論編 診療情報管理の考え方と実務
診療情報管理の考え方と実務.................6
I 診療録の定義....................6
1診療記録はチーム医療の基本である.........6
2診療録の法的解釈.................6
3診療録の実務的解釈................7
II 開示にたえる診療記録 ..................8
1信頼の創造と情報開示...............8
2開示に耐える診療記録...............8
3記載するべき内容.................8
III 診療情報管理......................9
1診療情報管理の社会的評価.............9
2診療報酬での評価.................9
3DRGへの対応 ...................10
4電算レセプトへの対応...............10
5診療情報管理の専門資格と養成...........10
6診療情報管理の目的................11
7診療情報管理士の役割、機能............11
8診療情報管理士に求められる能力..........11
9病院における情報活用の仕組み...........12
IV 医療の質の向上に資する診療記録 .............12
1医療の質向上に資する診療記録...........12
2管理責任者である院長に期待される診療情報管理の取り組み.12
V 今後の課題 展望.....................12
1診療記録記載の問題点...............13
2診療記録の変化..................13
3診療情報の電子化.................13
実践編 「診療情報管理」立ち上げの手引き
I 診療情報管理業務の立ち上げにあたって...........15
1定義・用語....................15
II 診療情報管理業務の組織と運営について: .........15
1組織.......................15
2診療情報記録管理規定の作成............16
3診療記録管理委員会の設置.............17
III 診療情報管理の基本的業務について............17
1診療記録の形態と種類...............17
2診療記録管理スペースなど.............19
3付番法(ナンバリング法).............19
4診療記録の形式と保管...............20
5ファイリング...................20
6診療記録の綴じ順.................23
7退院サマリー...................23
8索引業務.....................23
9貸出・返却・閲覧業務................24
10統計作成業務..................25
11疾病コーディングなど..............25
IV 診療記録の法規について: ................26
V 病院機能評価への対応:..................27
1診療録の管理体制が整備されているか。.......27
2診療録が適切に作成、管理されているか。......27
3診療情報が有効かつ適切に活用されているか.....27
VI 診療録管理体制加算について ...............28
VII 診療記録管理先進施設の見学:..............28
1葛西中央病院診療情報管理立ち上げ支援...........29
1.支援に至った経緯................29
2.支援活動開始(2000年1月26日)..........29
2.第2回打合せ会・検討事項(2月12日) .......29
3.第3回打合せ会・検討事項(3月1日)........30
4.第4回打合せ会・検討事項(3月27日) .......30
5.第5回打合せ会・検討事項(4月19日) .......30
6.第6回打合せ会・検討事項(5月27日) .......30
7.第7回打合せ会・検討事項(7月10日) .......30
2練馬総合病院における診療情報管理の経緯..........32
1診療録検討委員会設置...............32
2診療録管理士発見.................32
3診療情報管理実施病院を見学............32
4レセプト作成能力ではなく、コーディング能力が必要.32
5診療情報管理士招聘................33
6医療情報管理室の設置...............33
7医療情報管理室の稼動...............33
8医療情報管理室の現状...............33
巻末資料:.........................37
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